オリジナル・レイズ

「ここ風俗街じゃん?すごいなぁって思うわけ。
適当な理由でやってる人が一番多いんだろうけど、どうしても風俗をしなきゃいけない人や、
きっと誇りを持ってやってる人も居るんだもんね」


「…そうだね」


全くんのお母さんの気持ちを、私は頭の中で考えていた。


「だから、体売って稼ぎ続けてる人はすごいなぁって思うよ。偏見だけで底辺とか言う奴より、よっぽど立派だと思う。
体だけじゃなくて、精神的に強くなきゃ絶対に無理な仕事だもん」


「…うん」


全くんのお母さんだって、これは子供のためだって誇りを持ってやっていたんだろう。

全くんを傷つけている事実を、充分に知った上で…



「すごいと思うけど…すごいけど、うちは、絶対にもうしない。それに、誰にも勧めたくない。もう誰にもして欲しくないの。あんたにもね」



アケミはまっすぐに私を見て言った。


“私みたいにならないで”…そう伝えたいんだって、まっすぐに伝わってきた。


泣いているマミコのせいだろうか。

目の奥がツンとする。


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