オリジナル・レイズ
「まったく、泣くなマミコ!あんたにだって散々やめろって言ったじゃん。なのに聞かないし」
「もうしないっ…もうしないよぉ~」
マミコをなだめるアケミの瞳にも、涙が溜まっているのがわかった。
「それじゃ、うちら帰るから。あんたもとっとと帰りなよ」
派手な格好の二人は、夜の街にすぐに溶けていってしまった。
アケミは、マミコを心配して探しに来たんだ。
きっと今夜だけじゃないんだろう。
一人でこの街を歩きながらマミコを探し、遭遇できたら毎回止めていたに違いない。
――1回会っただけなのに、そんな私の体まで心配して止めてくれた。
全くんのことを酷く言ってたのも…
きっとマミコに、性感染症の怖ろしさを伝えたかったからなのかもしれない。
『体を売っても何も残らない。結局お金も残らない。失う物の方が多いかもしれない』…
まだあどけない15歳の声で、落ち着いたしゃべり方をするアケミの言葉が、延々と頭の中で回っていた。