オリジナル・レイズ
「おいおい、なんだよ」
「だって先生、本当に先生みたいなんだもん」
「何だそれ。本当も何も先生は先生なの」
コツンと軽く頭をぶたれる。
前に、全くんにげんこつをくらわされた事があったなぁ。
全くんは手加減してくれなかった。
いつもまっすぐで、素直で…
全くんのことを思い出していると、先生が心配そうに私を見ていることに気がついた。
あわてて話題を探す。
調子に乗って、学者っぽい振り方をしてみた。
「ブラックホールと言えば先生、昔は理論があっただけで存在を確認されていませんでした」
「お、よく知ってるね。巨大な恒星の大爆発の後は必ず、中心核が白色矮星になるという理論が優勢だった」
「理論と言えば、白色矮星の最終形態が黒色矮星ですが、この宇宙ではまだ、黒色矮星も理論上のみの存在なんですよね」
「ああ、そうだ。今わかっている宇宙の年齢では、まだ黒色矮星はでききっていないと考えられている」
先生は本当に宇宙に詳しい。
感心していると、先生が私に言った。