オリジナル・レイズ

…ねぇ、全くん

時々私、残酷なことを考えたりもしてる。

このまま…
二度と目が覚めない方がいいんじゃないかって。



だって…

私はきっと、ここにはもう長く居られない。

実のお母さんも刑務所に居るんだよ。

外国のお父さんとは連絡がとれないし。

目が覚めても一人ぼっちなの。



エイズ脳症がどれだけ進行しているのかもわからない。

自分の名前がわからないかもしれないよ。

お箸の使い方も、ドアの開け方も、ペンの持ち方だって…




体がどれだけ動かせるかもわからない。




それに…



もしかしたら、
目が覚めてもすぐに苦しくなって…

苦しみながら亡くなっていくことだってあるかもしれない。


…だったら…


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