オリジナル・レイズ

「ずっと、側にいてやってくれよ。高遠の」


雪が落ちてくる天を仰ぎ、先生は呟いた。

言っている事がよくわからなくて、私は先生を見る。


「先生も側にいるけどさ。あいつは、きっと…君がいなくちゃ駄目なんだと思うから」


「――ずっと、側にいられるかは…わからない」


何故か私は、そんな返事をしていた。

何故かは分からない。
ただ、今この瞬間は嘘をついてはいけないような気がした。


「でもね、側にいてあげられなくても、私はずっと全くんを見守ってる」


先生の瞳を見つめ、しっかりと伝える。



「例えば私が、本当は死を間近にひかえた星で、例えばこの冬でその星が死んでしまって、私も消えてしまうとして…それでも私は、全くんを見守ってる」



先生の表情が変わる。

伝わったのかな?


先生、私は全くんの側にも、先生の側にも、もうじき居られなくなってしまうの。

でも心配しないでね。

死んでしまった星の残骸は、新しい星の材料になって、また夜空で輝くことができるの。


それにね、流れ星になってもう一度人間になれるかも知れないじゃない。


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