オリジナル・レイズ

「なぁ、ツバサちゃん。
“生まれる”っていう言葉があるだろ?」


「…はい」


熱くほてった気持ちで、私は先生の言葉に耳を傾ける。

恥ずかしくて、先生の方を向けずに話を聞いた。



「言葉の勉強。助動詞〈れる〉〈られる〉が付く言葉って、受身形だろ。
“生まれる”っていう言葉は、実は元から受身になっているんだよ。正確には、“生まれさせられる”」



生まれさせられる…?



「すべての命は、自分の意志で誕生しているのではないということだ。これは、日本語に限った話じゃないんだよ」



ぼーっとした頭の中で、先生の言った言葉を反芻してみた。

確かに、生まれるって言葉は〈れる〉で終わっている。


気にしたことなかった。



「…よみがえりでも、生まれ変わりでも、先生はどっちでもいいんだ。君は、もう一度生まれさせられて、ここにいる。夢、見てるみたいだ…」


先生の声が、次第にとろんとしていく。

眠たいのかな?


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