オリジナル・レイズ

人間の男の子に恋をした星は…

ようやく想いが実ったんだね。



床に座り込んだ先生は、本当にそのまま眠ってしまったようだ。


思えば私たちに付き合って、先生は常に寝不足だったはず。

教師だから朝も早いだろうし…


「…ありがと、ハル兄。ハル兄は最高のおにいちゃんだよ」


先生から借りた白いダウンジャケットを、眠ったままの先生の肩にかける。

全くんが、私にカーディガンをかけてくれたみたいに。


私は静かに研究室を後にすると、夜空を仰いだ。



満点の星空。

冬の夜空は一年中で一番美しい。



大きく息を吸う。

肺の中が、冬の冷気でいっぱいになって、体中が浄化される気がした。



そして、最後の一息まで息を吐き切ったとき…




ひとつの小さな命が


冬の空に消えた。


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