オリジナル・レイズ

そう思ったから、正直に言った。



「…さんきゅ。ホントは、これ、誰にも言ったことないんだ。恥ずかしくて」


「なんで?全然、恥ずかしくなんてないよ」


「俺、頭悪いからさー。体力くらいは自信あるんだけどね」



全くんは、力こぶを作ってみせた。



「他の奴らには、内緒にしてな」


「うん!誰にも言わない」




…嬉しい。
二人だけの秘密。


宇宙飛行士になりたい理由は聞かなかったけど、きっと宇宙に興味があるんだろう。

天体望遠鏡に夢中だし。



「それじゃ、そろそろ帰るか?…ツバサ、家どこ?送ってってやるよ」


――帰る場所なんて、ない。




私が躊躇していると、明かりのついた部屋から人が出てきた。


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