オリジナル・レイズ
【夜を駆ける】
「ツバサ!ツバサっ」
…あれ?
誰か呼んでる。
ふと目を開けた。
「大丈夫か…?」
心配そうな顔をして、全くんが私を覗き込んでる。
「まったく、なんでいつも倒れてるんだよ。そんなに貧血酷いのか?」
私は、また中庭の芝生の上に倒れていたみたいだ。
見上げると、今夜も見事な星空。
ええと、どうして私またここに倒れてたんだろ…
いつのまに夜になったの?
「心配したんだぞ。昨日。突然消えたりするから」
「…ごめんね。私、部外者だし、怒られちゃうんじゃないかと思って」
――言い訳をしていて気がついた。
私、昨日とまったく同じ格好。
「…家に帰らなかったのか?」
案の定、全くんは突っ込んでくる。