オリジナル・レイズ
「ちょっと今、帰れなくて…」
しどろもどろに答える。
怪し過ぎの私。
でも、全くんはそれ以上突っ込んではこなかった。
そうか、と言ったきり
立ち上がって夜空を仰いでいる。
優しいなぁ…と、彼の横顔を見つめる。
上半身だけ起こし、芝生の上にぺたんと座り込んだ状態で、
立っている彼に並んで、夜空を見上げた。
彼は15歳で、自分は100億歳。
彼は人間で、私は星。
どんなに近づいたって、その事実は変わらない。
恋の成就を願うわけじゃない。
実らなくていいんだ。
私の恋は。
ただ、この瞬間だけはそばに居たい。
それだけで充分。
その時――
「流れ星!!!」
二人同時に叫んだ。