オリジナル・レイズ
流れ星に、お願い事する習慣すら知らなかったのに…
どうして私の口から、そんな言葉が出たんだろう。
少しうつむいて考えていると、
全くんが沈黙を破った。
「夜空を駆け抜けようぜ!!」
一瞬、意味がわからなかったが、
全くんは急に自転車置き場まで走った。
私も慌てて後を追う。
全くんは、自転車の後輪に何やらネジのようなものをつけると、
「乗って」と言った。
その時全くんは、自分が着ていた紺色のカーディガンを私の体にふわりとかけてくれた。
全くんがサドルをまたぐ。
このネジに足をかけて、私は立ち乗りをすればいいのかな…?
少し照れくさくて、うつむきながらカーディガンに袖を通し、
ふらつきながら立ち乗りし、
全くんの肩に、両手をかけた。
長袖の白いシャツ1枚越しに、全くんの体。
あったかい。
「いくよ!しっかりつかまって」