オリジナル・レイズ
「俺も、飛び込んでくれた人も、二人して血まみれの大怪我だったらしい。輸血受けて、俺は助かったんだけど…」
「…そっか…」
すると、全くんは私の方へ顔をむけて言った。
「ごめんな、出会ったばかりで、こんな重い話」
「えっ!?いいよ、全然」
むしろ、いっぱい話してくれた方が嬉しい。
「ツバサは…なんか、不思議な奴だな」
クスッと笑って全くんは言う。
ここに来て初めての笑顔を見せた。
「え~?不思議って?」
嬉しくなって、身を乗り出して聞き返す。
「初めてって感じがしないって言うか…なんか、何でも話せるんだよ」
全くんは、身を乗り出した私の頭を、右手でポンポンと撫でた。