オリジナル・レイズ
【繋いだ手】
それから、私はしばらく学校に行かなかった。
行きたくなかったんじゃない。
行けなかったんだ。
まさか、6歳の頃に恋した人を、未だに探していたなんて。
それも、全くんのために命を賭けて亡くなった…
…なんだかその人、私に似ている。
そう思うのは失礼だろうか。
ただ、そんな風に思ったら、虚しさでフッと笑えてしまった。
全くんは、いろんな人から愛されてきたんだね。
全くんと自転車で通った、海の見える道をしばらく行くと、
海岸に降りられるコンクリートの階段があった。
私はその階段の一番下に腰掛け、砂の上に素足を投げ出し、一人で夜を過ごしていた。
季節はもう6月になったが、海に来る人なんていなかったし、この辺は田舎でサーファーの姿もなかった。
月と星の明かりだけでは、海の色はわからない。
すべてを飲み込むような黒い波に見える。
でも、宇宙から見たこの星は、青くてとても綺麗だったから…
きっと太陽が昇っているときに見れたら、すごくきれいな青なんだろう。