オリジナル・レイズ
ぎょっとした。
なんて細い腕…
以前、全くんは学校でちからこぶをみせてくれた。
その時も細かったのだが、今はあの時より遥かに…
潮風が、全くんの髪を揺らしては去っていく。
私は全くんの顔を見つめた。
「…ツバサー、俺、バスケ部やめちゃったんだー…」
全くんの口元は笑っていた。
でも、こっちを向かずに目を閉じてうつむいているのが、
無理して笑っているんだということを表していた。
「…ごめんな。俺、ツバサに愚痴しか言ってねぇ…」
私はいたたまれない気持ちになり、腕を放した。
「いいんだよ、そんなの。私嬉しいもん。いつだって何でも話して欲しいよ。だって私…」
ずっとひとりぼっちだった私を、救ってくれたのはあなただから。
次は私が、あなたを救いたい。
「私、全くんのちからになりたい」
…その時だった。