オリジナル・レイズ
全くんが、私を抱きしめた。
一瞬何が起こったか理解できなかった。
気づいたときには、私は全くんの細い腕の中にいて、波の音も風の音も忘れていた。
心臓の音に殺されそう。
「ぜ、全…」
私の言葉で我に返ったように、全くんは私の体を放した。
私の瞳を見つめた後、視線をそらし、
「ごめん」と言った。
私は、熱くなった顔を横に振る。
そして、少し照れ笑いしながら言った。
「…今の、神様がみてたかも」
そんな私を、全くんはもう一度見つめる。
全くんも照れ笑いして言った。
「じゃあ、星も…見てたかな」
「みんな見てた」
「――ツバサが言ってた、もうじき死ぬっていう星も?」
全くんは、続けてもう一つ質問を投げかけてきた。