オリジナル・レイズ

ドキドキしながら、初めて天体望遠鏡に触れる。


学校では、触ってはいけないと言われていたからだ。

きっと、窓ガラスみたいに安易に壊しちゃう奴が出てくるからだろう。



そして、さぁ覗こうとしたその時――




「おいっ!触っちゃダメって言ったろう」


ギクッ


担任の渡先生が現れた。



いつも優しい先生が、めずらしく少し怒っているようだ。

そんな大事な物なのか?

いいじゃん、減るもんじゃないし。

俺壊したりしないし。



そう楽観的に考えると、高遠は交渉を始めた。



「渡センセー、なんでこれ出してんの?センセーが星みてんの?」


「ん? 高遠もこういうの興味あるのか」


「あったら、覗いてもいいの?」



高遠は目を輝かせ、口早に聞いた。


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