オリジナル・レイズ

「ツバサー、顔が暗くなってるぞ。なんでそんなこと気にしてんだよっ」


全くんが私に、手加減なしのげんこつを食らわした。


「いったー…だって、6歳のときの初恋を今でも忘れないって…相当じゃん」


「そりゃ、俺のために命を落としてくれたんだから、忘れたら逆に失礼だろうが」




全くんのために命をかけた人。




「…それって、やっぱり両想いだったのかなぁ」


「はぁ??」


全くんは思いっきり吹き出した。



「あのな。相手の女の人は、10コくらい上だったの。今の俺らが幼稚園児相手にするようなもんなの。わかるだろ?」




…わかるけど。

気になるじゃん。


とんちんかんな妄想してるのは、自分でもわかってるのに、止まってくれない。


< 53 / 220 >

この作品をシェア

pagetop