オリジナル・レイズ
「ツバサー、顔が暗くなってるぞ。なんでそんなこと気にしてんだよっ」
全くんが私に、手加減なしのげんこつを食らわした。
「いったー…だって、6歳のときの初恋を今でも忘れないって…相当じゃん」
「そりゃ、俺のために命を落としてくれたんだから、忘れたら逆に失礼だろうが」
全くんのために命をかけた人。
「…それって、やっぱり両想いだったのかなぁ」
「はぁ??」
全くんは思いっきり吹き出した。
「あのな。相手の女の人は、10コくらい上だったの。今の俺らが幼稚園児相手にするようなもんなの。わかるだろ?」
…わかるけど。
気になるじゃん。
とんちんかんな妄想してるのは、自分でもわかってるのに、止まってくれない。