オリジナル・レイズ

仕方なく、私は病院を出た。

外は、まだ真っ暗の真夜中。


先生の狭い車の中も
病院で先生と母親の会話を聞いてる時も

ものすごく時間が長く感じたのに…



空を見上げてみる。

さっきまで、あんなに晴れていた星空に、雲がかかり始めた。

まるで、私やみんなの不安が空に映されているように。




次第にぽつぽつと降り始める6月の雨を、

私は全身に浴びながらとぼとぼと歩き出した。


懺悔にならないことなど

わかっていたけど…。






――…そして、
翌日。


引き続き今夜も雨が降っている。

全くんの姿はない。



夜の雨の中庭で、私が座り込んでいるのに気づいたのか、

渡先生がやってきた。


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