オリジナル・レイズ
窓のほうを向いていて、起きているかどうかがわからない。
ノックに返事がなかったし、寝てるのかも。
でも一応、驚かせたらいけないので、ドアの隙間から覗き込んだまま、
失礼します…と呟いた。
やはり、返事はない。
電気をつけるわけにもいかず、
私は後ろ手でそっとドアを閉めると、
静かに全くんのベッドへ近づいた。
その時。
「…ツバサー?」
全くん、起きてたんだ。
でも顔の向きは、窓を見つめたままだ。
「うん、そうだよ。ごめんね、私のせいで、全くんに怪我させちゃって…」
言葉が見つからない。
こんなことしか言えなかった。
すると、全くんはゆっくりとこっちを向いた。
――そして、
悲しげに笑ってこう言ったのだ。