オリジナル・レイズ
「俺、HIVに感染してたんだってさー…」
・・・・・
…え??
「まじウケるよなー…」
全くんは天井にむかって空笑いしていた。
HIV
ヒト免疫不全ウイルス
私はこの病気を知っていた。
何故知っていたのかはわからない。
とりあえず、何かかける言葉はないかと
全くんの傷つかない言葉を必死で探した。
「…よく、話してくれたね。私なんかに…」
「・・・・・」
全くんは空笑いをやめ、私の瞳を見つめた。
「言ったじゃん。ツバサには俺、何でも話せるんだよ」
優しくそう言った全くんの表情には、不思議と、絶望感や恐怖といった…
そういう感情がなかった。