オリジナル・レイズ
【神様の悪戯】
――翌日。
案の定、全くんが目覚めたときには、私は消えていたようだ。
今夜は、雨は上がっているが星は見えない。
相変わらず、看護婦さんにばれないよう部屋の電気は消したままだ。
全くんはベッドに横たわったまま、窓から外を見ていた私の背中に訊ねる。
「…いつも、ツバサがどこに行ってるのか聞いちゃダメか?」
「え?」
「いや、俺らが会ってるのいつも夜だから。学校いってんの?」
「うん、まぁ…」
…私の嘘つき。
素足でかばんも持たない学生がいるわけないじゃん。
でも、昼間の私はどうなってるのか
自分でもわからないのだから、答えようがない。
すると、全くんは言った。
「俺さ、もうすぐ退院するんだ。そしたら、あの海に日の出でも見に行かないか?」