オリジナル・レイズ
――日の出。
無理に決まってる。
目の前で私が消えていったら、全くんだってびっくりするだろう。
私は、そのことには敢えて触れずに会話を続けた。
「退院できるの?良かったね」
「…まあな。ただ…」
全くんは続ける。
「この病気のこと、みんなに話したほうがいいのか、ちょっと考えてて…」
その時、
経験ない病気のはずなのに、私の脳裏に何かがよぎった。
「…言わない方がいいと思う。みんな、頭ではわかってても絶対避けるようになると思う」
私は、無意識に唇を噛み締めて言った。
そんな私を見て、全くんは言う。
「…ツバサ、唇かわいてんの?水分取ったほうがいいんじゃないの」
全くんは、ベッドの隣にあるテーブルの上を指差した。
「あのペットボトルの水飲めよ。俺の飲みかけだけど」