オリジナル・レイズ
「あ、ありがと…」
全くんの飲みかけ?
…つまり、間接キスってことなのかな…
思わず顔が熱くなる。
ドキドキしながらペットボトルのキャップに手をかけたとき、その手をいきなり引っ張られ、
私は全くんのベッドの上に倒れこんだ。
その拍子に、キャップをしたままのペットボトルがゴトッと床に落ちた。
ぎゅうっと力強く抱きしめられる。
いつか浜辺で抱きしめられた時みたいに…
「ぜ、全くん??」
「…怖くねぇのかよ」
「な、何が??」
「HIVだよ」
全くんの声は、心なしか震えていた。
抱きしめる力を弱め、私の体を力なく放すと、
全くんは下を向いたままぽつりと話し出した。
「今日の夕方、クラスの友達が見舞いに来たんだ・・・」