オリジナル・レイズ
全くんは、悲しい笑みを浮かべながら言った。
「ホント、ツバサの言ったとおりだったよ。すげえな、ツバサは。何でも知ってるんだな」
…じゃあ、さっき飲みかけのペットボトルを勧めてきたのは…
私が嫌がらないかどうかを確認するためだったの?
「…ばか…」
私は涙をためて言った。
「こんな、試すようなことしないでよ。私がこんなことで、全くんを嫌いになると思ったの?」
全くんは、驚いた顔で私を見つめる。
私は床に転がったペットボトルを、掴むように拾い、飲み干した。
一気飲みだったので、息を切らしながら、ペットボトルを机に戻す。
そして、溜まっていた涙を消すように、笑顔を作って全くんに言った。
「…間接キスしちゃったね」