オリジナル・レイズ

――しばらくすると、
全くんは退院し、今までどおり学校へ通うようになった。


HIVに感染しているという噂は、全くんが登校を再開した日にはすでに広まっていたらしい。


きっと、見舞いに来た4人だ…



今まで普通に溶け込めていたクラスだったのに、誰も全くんに近寄らなくなったそうだ。

明るくて優しい全くんは、何も変わっていないのに。

教室で一緒に騒いだってうつらないよ。



私がもし昼間も人間で居られたら、絶対にそばに居て全くんを守るのに。

それができない自分が、もどかしくて仕方なかった。





…今夜も、パラパラと雨が降っている。



全くん遅いなぁ。


いつもと同じ、暗闇の中、中庭のすみっこでしゃがんでいると

部活帰りだろうか。

女の子達の話し声が聞こえてきた。


< 76 / 220 >

この作品をシェア

pagetop