オリジナル・レイズ
――しばらくすると、
全くんは退院し、今までどおり学校へ通うようになった。
HIVに感染しているという噂は、全くんが登校を再開した日にはすでに広まっていたらしい。
きっと、見舞いに来た4人だ…
今まで普通に溶け込めていたクラスだったのに、誰も全くんに近寄らなくなったそうだ。
明るくて優しい全くんは、何も変わっていないのに。
教室で一緒に騒いだってうつらないよ。
私がもし昼間も人間で居られたら、絶対にそばに居て全くんを守るのに。
それができない自分が、もどかしくて仕方なかった。
…今夜も、パラパラと雨が降っている。
全くん遅いなぁ。
いつもと同じ、暗闇の中、中庭のすみっこでしゃがんでいると
部活帰りだろうか。
女の子達の話し声が聞こえてきた。