オリジナル・レイズ

「…そんなこと、知らないけど…」


「あーわかったぁ!キミ既に喰われちゃったコ!?エイズだって知らなかったんでしょ!かわいそ~」


金髪ボブがそう叫んだ瞬間、私は彼女の頬を平手打ちしていた。



「…ちょっ…イテーなコラ!!」


「全くんはそんな事しない!!!」



金髪ボブと取っ組み合いになりかけた時、何かを察した茶髪白メッシュが走って逃げた。


「ちょっとアケミ~!?待ってよぉ」


叫びながら金髪ボブも走っていく。




不思議に思い、ふと横を見ると、

私に青い傘を差し出す、全くんの姿。



「何やってんだよ、傘も差さずに」


「…今、あのコ達が、全くんの悪口…」


私の説明も聞かずに、全くんは私の手をとり、
ちょうど雨宿りのできる校舎の陰へ連れていった。


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