オリジナル・レイズ
こんな場所があったんだ…
陸上で使うハードルや、汚れたボールが転がっている。
倉庫の中に入りきらない分を、屋根のあるここへ置いてある感じだ。
トタン屋根に、パラパラと雨の音が一段と響く。
二人は、壁にもたれながらそこへ腰掛けた。
職員室の明かりも、ここからは見えない。
薄ぼんやりと、遠くに暗い校庭が見えるくらい。
本当に真っ暗だ。
雨のせいもあるのだろうけど。
…キスして以来、全くんと二人きりでいることが気まずい。
気まずいと言うか、心臓の速さに負けてギクシャクしてしまうのだ。
意味もなく緊張する。
全くんは、余裕なのかな?
彼の横顔を見上げる。
すると、彼も私の顔を見ていた。
目が合う二人。