オリジナル・レイズ

こんな場所があったんだ…

陸上で使うハードルや、汚れたボールが転がっている。

倉庫の中に入りきらない分を、屋根のあるここへ置いてある感じだ。



トタン屋根に、パラパラと雨の音が一段と響く。

二人は、壁にもたれながらそこへ腰掛けた。




職員室の明かりも、ここからは見えない。

薄ぼんやりと、遠くに暗い校庭が見えるくらい。

本当に真っ暗だ。

雨のせいもあるのだろうけど。




…キスして以来、全くんと二人きりでいることが気まずい。

気まずいと言うか、心臓の速さに負けてギクシャクしてしまうのだ。

意味もなく緊張する。



全くんは、余裕なのかな?



彼の横顔を見上げる。

すると、彼も私の顔を見ていた。



目が合う二人。


< 80 / 220 >

この作品をシェア

pagetop