オリジナル・レイズ
「あっ、なに??」
視線をそらし、全くんに訊く。
顔が熱い。
「あ、いや。なんであいつらと取っ組み合いなんかしてたんだ?」
「だから、あのコ達が全くんの悪口を…」
「そーじゃなくて!」
全くんが急に声を大きくしたので、私はそらしていた視線を全くんに戻した。
「怪我でもしたらどうするんだ?」
全くんが、私の目を見て真剣に言っている。
心配してくれたんだ…
「大丈夫だよっ、むしろ私が向こうにビンタしちゃったし!私は、何もされなかった」
「えぇ?ビンタ!?なんでそこまで」
「なんでって…」
決まってるじゃん。
好きな人のことは守りたいでしょ?
好きな人って、傷つけたくないものでしょ?