オリジナル・レイズ
HIVに感染していた女の子が、全くんをかばうように抱きかかえたまま
二人とも血まみれに――
私は、何故かその事故の瞬間を知っている。
HIVに感染していると知ったときの絶望感。
周りからの冷たい視線。
そして、
全くんを想う熱い気持ち…
≪もし私がAIDSを発症して死んでしまっても、星になって全くんのこと見守ってるよ≫
≪そして、いつか流れ星になって、全くんのところに還ってくるから≫
≪だから、星になった私を見つけ出してね?≫…
そんなこと、あり得るはずがないのに。
私は星として、何のために生まれたんだろう。
そしてこれから、何のためにまた死んでいくの?
ブラックホールみたいな
真っ暗な意識の中で
いくら問いかけても
もう、神様の声は聞こえなかった。