オリジナル・レイズ
「いやね、ごめんなさい。おばさん少し変ね」
全くんのお母さんは、作ったような笑いをして
話を止めた。
「それはそうと、あなたがこの病院にいること、親御さんに伝えたほうがいいわよね。もうだいぶ遅い時間だし…」
「いえ、大丈夫です」
「でも保険証とか…あなたまだ未成年でしょう?おうちの連絡先は?」
「いえ、本当にいいんです」
…なんなんだろう。
嫌な感じがする。
探られている感じ。
「…そう?じゃ、今日は遅いからこのまま病院で休んでいくといいわ。おばさんは、全のところに行ってるね。おやすみ」
そういうと、電気を消し
おばさんは病室を出て行った。
そして、ドアを閉めた後
こう言ったのだ。
もちろん、ドアを隔てて私には聞こえるはずもない。
呟くような低い声で。
「…化け物」