オリジナル・レイズ
私はベッドからそっと起き上がると、カーテンを開けた。
まだ、雨はやまない。
外は真っ暗だ。
…どうしよう。
保険証もお金もないのに病院なんて…
逃げ出すしか、ない。
家や連絡先を
またしつこく聞かれるに決まっている。
朝になったら消えるにしても、
きっと夜になったら再び
病院内に現れることになってしまう。
それは少し危険だ。
私は暗闇の中、そっと病室を抜け出し、病院を後にした。
雨は、容赦なく私の体を叩き付ける。
強く私を責めるかのように。
その時、ふと頭の中に
さっき全くんのお母さんに言われた言葉が浮かんだ。
『それは、どちらの意味?』
全くんに今回風邪を引かせたこと以外に
私は何か重大な過失を犯した…
全くんに対して…