オリジナル・レイズ
思い出そうとしても、思い出せない。
全くんに会ってから、1ヶ月と少ししか経っていないのだし
心当たりがない。
でも、全くんのお母さんは
私をあまり快く思ってはいないようだ。
一体何故…
そんなことを考えながら
私は雨の中を彷徨い続けた。
「…母さん、ツバサは…?」
「あの子、ツバサっていうのね。…全、あの子の素性知ってる?」
「素性?」
「連絡先も、お家の住所も教えてくれないのよ」
「訳ありっぽいから、聞かないようにしてる」
「訳ありねぇ…」
「どうかした?母さん」
「…なんでもないから、今夜はもう寝なさい」