オリジナル・レイズ
学校側は彼女の登校を断じて拒否。
彼女が体調不良を訴える際も、すべての病院が診察を断った。
【1人の人権より
99人の生存権を――】
と言う声が国中で上がっていたという。
全くんと少女は家が近所で、顔を合わす機会は幾度もあった。
しかし全くんの両親が
あの子には近づいてはいけないと、常に注意していた。
次第に二人は、周囲の目を盗みながら一緒に遊ぶようになる。
幼い全くんは、AIDSという病気を良くも悪くも
わかっていなかった為、
差別をする両親のことを
逆に不審に思っていたそうだ。
――子供には、
仲間外れはダメだと言っておきながら
仲間外れを助長しているのは
大人の方じゃないか――
彼女はいつも言っていた。
私の病気は、全くんには絶対うつらないから…
だから離れていかないでねって。
そして、
あの事故の日がやってくる。