空の涙 君の手で
そしてその人はこう言った…。

『久しぶり…。』

一番聞きたかった声…。

心の雨があがって、光がさして…。

そして虹がかかったんだ…。

「大岩先輩……。」

知らない間に涙があふれていた。

ぐっと拳を固め我慢した。

この人の前で泣いてはいけない。

この人の前で涙を見せてはいけない。

これ以上こんな思い…したくない…。

下を向いて息を整えた。

そっとそっと涙の粒が落ちた…。

『夏那ちゃん…どしたんだよ…。らしくねぇな((笑』

らしくないのは先輩でしょ…。

ゆがんだ顔が、淋しそうだよ…。

いつもと違う先輩だよ…全然…違うのが分かるんだからね…。

「先輩こそ…。」

そう言うと先輩はちょっと微笑んだ…。

「どうしたんですか??あたしになんか話しかけて…。」

一番不思議なことを問いかけた。

卒業生はみんなあっちにいる。

あたしなんかと話してないで奈七先輩のところに行ってあげて…。

でも、この言葉は出なかった。

言いたくなかった。

ずっと…ずっと…。

言いたくても心が許さなかったんだ…。




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