Automatic Dream
商店街から徒歩5分の所に俺の通う学校は在る。

更に言うと、現在俺が借りている、家賃一万未満と言うとんでもアパートからも徒歩5分である。

シャッター通りと我が根城は学校を挟んで丁度正反対の位置に在るのだ。

何故こんな遠回りをしたかと聞かれれば、それは地図に従ったからに他なら無い訳で、と言うしかなく、通常の3倍もの時間を通学に費やさねばならない事に腹を立てずには居られない、と言う事も申し添えておきたいと思っている。赤い彗星かよ、っていうツッコミもな。

まぁ、3倍と言っても15分程な訳だが。

さて、学校に着いた訳だ。が、やはり思った通り正門は堅く閉じられていて、恐らく7時頃までは開かないと思われる、と言うか正門に貼ってある紙切れにそう書いてある。

しかし雨の日はどうすんだ、この貼紙。

待て待て。待つんだ俺。

貼紙が濡れてヨレヨレになる事を心配するより、自分の身を案じた方が良いのではないか? 学校に入れないのだぞ? 開門までの2時間半の間、一体どこでどうしろと言うのか。さっきのように下らん事考えてるだけじゃ、さすがに持たんぞ。

……よじ登ってみるか、門。

我ながら勇気ある決断だと思う。いくら時間が時間だからとは言え、人に見られないとも限らない。

年をとると、朝が早くなったりするらしいしな。

そんな爺さん婆さん等に見つかってもつまらん、と言うかやっぱ問題になっちまうだろうし。

高校くらいはまともに卒業したいと思っているんだぜ、これでも。

だがしかし、この高校には、ここ以外に出入り口が無い。

何故こんな不便な造りなのかは、ここを建てた人間にしか分からないだろうし、もしかしたらそいつですら分からないかもしれない。どうしてそう思うのかは俺にも分からず、俺に分からないんだったら誰にも分からない訳で、なんとなくだ、としか言いようが無い。

なんだか、話が横道に逸れ、さらには側溝あたりに足でも突っ込んだりした様な感じになっている気がするので、ここらで戻ってみたいと思う。
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