Automatic Dream
トシと言う良き相談役が居なければ、とっくに首を括っているだろう。

トシは良いヤツだ。

俺がかえでに好意を抱いているのも知っていて、相談にも乗ってくれる。

聞き役としては天賦の才を持っていて、こいつ相手ならどんな秘密でさえポロッと漏らしてしまいそうだ。

その上で的確なアドバイスも処方してくれる。

こいつが居なきゃ今の俺は無いだろう。

そして、かえでもまた良いヤツだ。

トシもそうだが、うだつの上がらない、成績も運動神経も人並み以下な俺と、かれこれ18年も付き合ってくれてる。

この2人には敵わず、頭も上がらず、やっぱり情けない思いを抱かざるを得ない。

俺がこの2人にしてやれる事も無いし、恩返し所の話では無い。

まぁ今頃そんな事言っても仕方ないだろうし、それに他にあるだろ、考えるべき事が。

「なぁトシ……イヤ、トシじゃダメか。かえで、宿題やったか?」

「え? やったけど、まさかユキ君……」

そのまさかさ。

「おい、ユキ! ダメって何だ、ダメって」

まぁ、やってないだろうと思ってな。
怒るなよ、どうせホントの事だろ。

「バカにするなよ。俺は、この夏休みで変わると誓った。そしてそれは為された」
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