Automatic Dream
日直が「起立、礼」と言うのをBGMに、俺の頭はずっと女の事を考えていた。

別に欲求不満とか、そう言う訳では無い。

件の女の事だ。

夢に出て来て、俺の学校に新任として赴任して来て、今男子生徒に質問責めにあっている、あの女の事だ。

やはり笑顔で質問に答える女。
そしてそれをジッと見つめる俺。

良く考えないでも、これはおかしな構図なんじゃないか?

そしてやはり、それは客観から見てもおかしかった様で、

「何だよ、ユキ。お前もあの先生に惚れちまったのか?」

バカを言うな、トシ。

「分かってるさ。お前はかえで一筋だもんな」

恥ずかしい事を平気で言う。
かえでに聞かれたらどうする。

「んん? 何か聞かれたらまずい事でもあるの?」

狙い澄ました様なタイミングでかえで登場。

「何? 何なの? ねぇ!」

「何でも無いさ。それよりかえで、ユキがあの先生に熱を上げてるらしい」

ナイスフォローと言うべきか、ふざけんな馬鹿野郎と言うべきか、悩む所だね。

「ふざけんな馬鹿野郎」

まぁ、そんなには悩まなかったけどさ。

そうだな、時間にすると一瞬、刹那、電光石火、電光朝露。

俺の語彙ではこれが限界か。
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