Automatic Dream
「馬鹿野郎とは随分だな。俺の心は意外とナイーブなんだぜ? 柔肌なんだぜ?」

事実と反する事を言っておきながら、随分なのはどっちだ。
それから、柔肌ってなんだ、柔肌って。
恥ずかしく無いのか、そんな事言ってて。

「お前こそ恥ずかしく無いのか? 好きな娘が居るってのに、女教師にまで手を出そうってのか?」

バカ……。

「えっ好きな娘? 誰だれ?」

ほら、こう言う事になる。
どう答えたら良い。

「ちょっと神代君、良いかな? お話があるんだけど」

渡りに舟、ありがとう新任女教師。
かえでには悪いが、これではぐらかせる。

しかし何の用だ……?
いやまぁ、十中八九あの夢に関わった事だろうが。

「呼び出しとは、いよいよ何かあるなこりゃ」

何かって何だ。

「向こうもお前に気があるのかもしれん」

まだ勘違いしてんのか、こいつは。
て言うか、何でそんなに楽しそうなんだ、お前。

「それより良いの、行かなくて?」

かえでの声に教室のドアを見やると、やはり笑顔のあの女。

何を考えてんだ……。

しかしやっぱり行かない訳にもいかず……って何回目だろうね、このセリフも。

しょうがなく席を立つしか無いのだった。
< 28 / 71 >

この作品をシェア

pagetop