Automatic Dream
しかし着いたって、どこに?

「もう外して良いわよ、目隠し」

佐藤のその声に俺は急いでアイマスクを外した。

手は最初から自由だったからな。

しかし、いかんせん車内からでは外の様子は良く見えない。

「どこだ」と聞く変わりに、勢い良くドアを開いた。

スライド式のそのドアは、やたらに大きな音をたて、その音は壁や天井に反響して俺の元に降り注いだ。

高い天井、広めの空間、生臭い空気、遠くでは波の音、カモメの声。

何てこった……。

俺は港の倉庫なんて言う、ドラマの中の誘拐犯しか使わない様な超ベタベタな所に連れて来られてしまったのだ。

内装も、どう見たって古くてボロい倉庫内部。

気恥ずかしいと言うのが本音だ。
余りにもベタすぎてな。

って言うか、俺は誘拐されたのか?

そうか……思い返して見ると、どう考えても誘拐されてるな。

もし俺が近くでその様子を見ていたら、直ぐさま110をコールするだろう。

夢に出て来たのも、地図を置いてったのも、女教師として赴任して来たのも、全ては俺を誘拐する為だったのだ。

なんと回りくどい。

って言うか、何故俺だ?
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