Automatic Dream
しかし巡らせるべきはそんな思考ではない。

通路であると言う事は、必ず行き着く先があるはずで、そこが如何なる場所なのか、希望のある場所か、それとも待つのは絶望だけか、問題なのはそこだ。

臭いなんてどうだって良い。

「邪魔よ」

しかし、上からの声で脳内モーターへの給電は止められ、俺の頭の高速回転もまた止まった。

姿は見えないが、佐藤の声だった。

梯子から降りてすぐの場所にいた俺の真上から響いて来る。

上を見て、俺は飛び退いた。

次の瞬間、飛び退く寸前まで俺の足があった場所にハイヒールの踵が激突し大きな音を立て、人が死ぬであろう程の衝撃だった事を俺に伝えて来た。

アブねぇな、バカ!

と言おうとして右足の違和感に気付き、喉の辺りまで来ていた言葉を飲み込んだ。

生暖くゲル状の物に足を突っ込んだ様な感じだ、と言えば分かりやすいか。

イヤ、まぁ分かりやすいと言うかそのまんまなんだけどな。


…マジかよ……。

右足は脛の半分位まで汚水に漬かっていた。
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