Automatic Dream
不快な右足を半ば引きずる様にしながら二人の後に従い始めて、10分程経っただろうか。

いい加減どこかに辿り着いても良い頃じゃないのか?
さすがに臭いには慣れたが、暑いのはどうしようも無い。
これでは本格的に参ってしまう……。

なんて事を考え始めた辺りだ。

信じられないくらいの汗をかき、デコに張り付いてくる前髪がひたすら不快だ。

「ここね、着いたわ」

そう言う佐藤の声に俺の体細胞の全てが歓喜の意を表明したが、どうやら小躍りする程の気力は無かった様で、

「…………どうした……」

と言うのがやっとだった。

佐藤ポニー両人は答えず、そこにあった扉を開いた。
扉なんかあったのか。

この扉の先に待受ける物。
それが俺の運命を決定づける。

そういや俺の荷物はどうするんだろうな。
持って来いと指示されたのは何だったのか。
車の中に置きっ放しだ。

錆び付いた扉の錆び付いた南京錠と格闘している二人を眺めながら、そんな事を考えていた。

って、まだ開かないのか……。
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