Automatic Dream
42℃
はー……。

生き返るねまったく。

いやまったく。

ふぃー……。

しかしそろそろ上がるか。
のぼせちまいそうだ。

今にもカポーンとか言う効果音が聞こえてきそうなこの場所で、足の汚れや汗を洗い流し、ゆっくり湯船に浸かり、サッパリだ。

大量の湯気が立ち上ぼるここは、温泉。
大浴場だ。

たまには良いもんだな、こうやってゆっくりするのも。
温泉なんて久し振りだ。

ゆっくりさせて貰うか。

…………。

余りにもゆっくりし過ぎて、どうやら俺の脳細胞も皮膚と共にふやけてしまった様だ。

とんでもなく重要な事を失念していて、それを思い出したのは、浴衣に着替え「松の間」と銘打たれた豪勢な部屋で一通りくつろいだ後だった。

遅ればせながら、

「どこだ……ここ」

と呟いた俺の声に対し、

「簡単に言えば、秘密基地ね。あたし達の」

まさか返答があろうとは。

びっくりし過ぎてマヌケな効果音が俺の口から大音量となって転がりでた。

きっと誰かが俺のボリュームツマミを捻りやがったに違いない。


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