Automatic Dream
「下らない事喋ってるヒマなんかないわ」

喋っては無いさ。

「……とにかく、時間が無いの。バクの手はすぐそこまで来てるんだから」

バク?

「ええ、バクについても読心についても、また今度詳しく説明してあげるわ。今は時間が無いから、必要最低事項だけを手短にね」

と前置きして、

「まず起きたら、すぐに荷物をまとめて。こちらが指定した場所に向かってもらう。その場所を印した地図が郵便受けに入っているから、それを頼りに。それから家を出るのは、4時半までに。それ以降だと後悔するわよ」

4時半だって?

無理だよ。さっきも言ったかも知れないが、寝たの何時だと思ってる?

2時だぞ?

それに、俺は朝は特に弱いんだ。

無茶を言うな。

大体、なんで俺がそんな事しなけりゃならんのだ。

「別に良いわよ? 来なくても。でも後悔するのは貴方のほうよ」

………

「とにかく必要な事は全て伝えたわ。どうするかは貴方次第だけど…っと、時間みたいね……」

彼女がそう言うと、心なしか彼女の姿が霞んだと言うか、揺らいだと言うか。

彼女だけじゃない。

回りの景色全てが頼り無くグラついてきたような、そんな感じがした。

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