Automatic Dream
「……あたし達は太古の昔よりバクの存在を知り、それの監視を行なって来たわ。でも対した害も無かったし、在って無い様な組織だった。でも十数年前からバクは変わってしまった。だから私達は立ち上がったの。でも何故変わってしまったのかまでは分かって居ないわ」

なるほど……バクについてもあんたらについても大体分かった。

じゃあ一番大事な話をしよう。

何故俺だ?
どうして俺をここに連れて来た?
どうして俺にそんな話をする?

「それについては私が説明するわぁ」

その声に俺が3cm程浮上ってしまったのは言うまでも無い。

着地する前に振り向くと座椅子に腰掛け机に向かい湯飲みをすする浴衣姿のポニーが居た。

いつ来たんだよ……。

「さっきよ。弊害について話してる辺りかしらねぇ?」

佐藤にしろあんたにしろ、もうちょっと普通に現われてくれないか。
俺の心臓だって弱い訳じゃないが限界がある。

「あらごめんなさいねぇ」

小指の爪の甘皮程の誠意も感じられんが。

「そんな事はどうでもいいのよ」

佐藤が割り込む。

「良いから話して。この事についてはあなたの方が詳しいんだから」

「はいはい。さて、まずは自己紹介でもしましょうか。まだ名乗って無かったわよねぇ。いつまでもポニーじゃ嫌よ?」

俺の頭ん中だけ筒抜けってのは何か癪だな。
サトラレにでもなった気分だぞ。

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