Automatic Dream
つまりはどう言う事だ。

「人間が知覚して始めて現実は現実となる」

何だそりゃ。

「おとぎ話や神話に出て来る人魚や妖怪ね。それらは存在したの。人間がそれらを信じていた時代には」

それこそおとぎ話みたいなもんだ。

「次第に科学が進み、そんな物は存在し得ないと人間達が知覚した時、それらは姿を消した。人間が居ると思えば居る、居ないと思えば居ない、って事よ。そんな風にプログラムされてるの」

それで、その話と今回の件とどう関係してるんだよ。

「皆があなたは居ないと思った、だからあなたは居ないのよ」

はぁ?

「誰もあなたを覚えて居ないなら存在しないも同じ。だから学籍簿からあなたの名前が消えた、上靴も消えた。あなたに関わる物全てが消えたの」

何だって?

「通常、バクに誰か個人の記憶が食べられた場合、その個人も消滅するわ。じゃないと今回のあなたの様になってしまうから」

じゃあ何で消えない?
俺はまだここに居るぞ。

「これも昨日言ったと思うけど、あなたはバクからの影響を受けないの。当然バクが造ったこの世界からもね」

なんてこった……。
これではまるで昨日起きた全てが、今日起きた全てが現実の様ではないか。
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