Automatic Dream
全てを認めろと?

俺の記憶が皆から消えた。

トシやかえでとのあの楽しかった想い出も。
あの時間全てが……?


「何とか……ならないのか……」

「……ならないわ」

くそったれ。

俺はソファに腰を降ろした。

立っているのが辛かった。

「どうするつもり? これから」

知らん。
今は一人にして貰いたいね。
考えなきゃならない事が山程あるんだ。

「…………」

佐藤は何も言わず、部屋を出た。

有り難かった。

何か慰めの言葉でも掛けられようものなら古びた電池のように液もれしてしまっただろう。

考える事があると言ったがうまく頭が回らない。
何を考えなきゃならないんだっけ?

分からない。

そうして何も考えれないまま時間だけが経ち、ようやく腰を上げたのは2時間後の事だった。

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