Automatic Dream
しかしここで電話を掛けてしまっては、こちらも向こうさんに協力しなければならなくなるのだろうな。

俺にしか出来ない事があるだのいってたしな。

なにやら不安だがこの状況を打破するにはコールするしかあるまい。

携帯電話を取り出しパワーボタンを長押し。

緊急時に使えなかったら困るからと電源を落として節電していたのだ。

とその時、聞き慣れない音が室内に響き渡っているのに気付いた。

俺がそれに気付いたのはどうやらその音が二度目に鳴り響いた時で、丁度11桁目を打ったところだった。

あとは通話ボタンを押せば繋がる状態の携帯を握り締めたまま、俺は考えた。

来客?

こんな時間に?

その音は玄関前に設置されたボタンを押した時に発せられる音だ。
今思い出した。

俺は携帯の右上隅にある時計を確認してゲンナリした。

間も無く10時半を回ろうかと言う時間だ。


こんな非常識な時間に訪ねて来る様なやつは当然非常識なやつに相違無く、ゲンナリした気分が約3倍に膨れ上がった。

しかし又もチャイムが鳴り響き俺のゲンナリを倍化させるので出ない訳にもいかない。

悪い予感しかしないぜ。



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