Automatic Dream
俺の布団か?

それなら先客がいる。

ソファでも使ってくれ。

別に良いさソファでも、サンキュー。

毛布ぐらい貸すぜ?

ああ、頼むよ。

てな感じで今俺は痛んだスプリングの上に寝転んでいる訳だ。

なにやら背中が痛むが、そんな事を気にしている場合では無い。

なかなか寝付けないのは痛む背中のせいではない。

しかし痛みが邪魔で考えもまとまらず、まとまらないならこんな所で寝ていても仕方がないと窓辺へと移動したが、見事な感じの月が出ておりそれを見ているとやっぱり何だかまとまらず、そのまま昇る朝日を拝んだ。

ボーッとしているだけでも時間は潰せるようだ。

後学のため覚えておこう。

時計の針は八時を指している。

「ん……」

窓辺で一人佇む俺の背中に小さな声が当たった。

起き抜けの少女はまぶたを擦りながら大きなあくびをを一つ。

それは実に可愛らしい光景で、ロリコンでない俺でさえ頬が緩むのだから、世のロリコン共がこの場に居たなら口に出すのもはばかられるような凶行に走ることだろう。

って何の話をしてるんだ俺は。

「んー、よく寝たわ!」

威勢良く言い放った少女は伸びをした体勢のまま俺を見て固まった。

「はわわ……」

どう見たってそれは驚愕や恐れを感じたときのリアクションだよな?

その顔にはその様なものが十分すぎるほど感じられる。

「なんて事……わしとしたことが、寝ている間に誘拐されるとは……!」

なんて言ってやがるぞ。

フザケたガキだ。

何を言い出すかと思えば。

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