Automatic Dream
「ぬし、名は何と言う!」

神代ユキだ。と冷静に答えちまうのもどうなんだろうな。ってかそのゴムチューブっぽいのはどっから出したんだよ。それと、痛いから止めてくれ。

「黙っておれ! 出血がひどい……。止めなければ死ぬるぞ。それから、痛いのは気のせいじゃ」

気のせい? 全く持って意味が分からん。もっと分かり易く説明してくれ。俺が死ぬ前にな。

「良いから黙っておれ! こやつが神代ユキだったとは……! なるほどわしの力も及ばぬはずじゃ……。ならばやはり通常の治療しか無いか……!」

とりあえずこの足をどうにかしてくれ。元通りになるんだろうな。

「おい貴様! 何をボサッとしておる! さっさと人を呼べ! 部屋も手配させろ!」

俺は無視か。ってか今のは誰に言ったんだ。佐藤か? まぁ佐藤しかいないか。

佐藤はビクッとして、

「え、ええ……。分かったわ……」

と言って走り出した。

ってかお前、それはどっから出してんだよ。

少女の周りには包帯やら消毒液やら、見た事も無い様な器具やらが大量に並べてある。その器具は何なんだ。何に使うんだよ。俺を改造人間にでもする気か。

「目を閉じろ」

さっきからお前、無視しすぎじゃないのか? 終いにゃ俺もキレるぞ。

「閉じろ!!」

分かった、分かったよ。閉じれば良いんだろ。……そんなに怒んなくてもいいじゃん…………。泣いちゃうぞ? 殴られるし足は無くなるし怒鳴られるし……。踏んだり蹴ったり過ぎるぜ。

「良いな、絶対に開けるでないぞ」

はいはい。

……んん? 何かこげ臭いな。焼肉とかで肉を焼き過ぎた時みたいだ。なんか焼いてんのか?

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