Automatic Dream
「実際痛い目見てんのはアンタだけどね」

バカな事を。俺は痛くも痒くも無いわ。

「前、隠したら?」

フル○ンだった。びっくりするほどフル○ンで、かつ驚くほどフル○ンだった。

で、やっぱ割愛。

俺は走り出した。
何で俺こんな事になっているんだろうかとか、またここに居るって事はやっぱり夢の中なんだろうなとか、色々な意見が頭の中を飛び回っていたが、俺は走った。一刻も早くここから離れたかった。

どんむっ。っと、胸の辺りに、何だ? 何の衝撃だ? ま、まさか……恋? 

「バカな事言っとらんで、まずは謝ったらどうじゃ?」

声は聞こえども姿は見えず。しかし見えずともこんなしゃべくりは奴しかあり得ん。

下を見やると小さめのつむじが台風の目の如く鎮座していた。

ってちょっと待て! ここは男湯デスヨ? そして健全な18さいd…………。

この件も飽きてきたな……。

「何を訳の分からん事を言っとるんじゃ」

ふん、最早騙されはしない。三度も同じ手に引っかかってたまるかよ。神代ユキを嘗め過ぎたな貴様ら。水着程度の露出で私に勝てるものか。

「何を言っとるんじゃ、こやつは?」

「さっぱりよ」

おいちょっと待てよ。お前等ちょっと前まで殺すとか殺さないとかそんな感じだったじゃねえかよ。なんで仲良いんだよ、俺を差し置いて。

「あら? 寂しいのかしら? お姉さんが慰めてあげよっかぁ?」

ほう、この俺の深い苦しみ……! 喰らい尽くせるもんならやってみるがいい!

「いいから謝らんか、人にぶつかっておいて何じゃ。年上は敬うもんじゃろうが」

はぁ? 年上って、何を訳の分からん事を……。……っ!!!

「? 何じゃ、どうした?」

俺たちを取り巻く湯気の中でぼんやりと浮かび上がるそのシルエット。彼女いない暦18年の俺にとってのそれは、神々しいまでの輝きを放っているようにさえ見えた。肌色に輝くそれは、一糸まとわぬ姿で堂々たる仁王立ち。

「俺の、負けだ……っ!」

血の気が引いていくような音がした。主に鼻から。

風呂の床はとてもとても冷たかった。


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